部課長ゲームで報連相の質を高める研修の進め方と効果
部課長ゲームは、部長・課長・一般社員に分かれ、無言でメモだけを頼りに目標達成を目指すゲームです。階層を通るたびに情報が減る構造を体験する進め方を解説します。

現場の状況が、上の階層まで正確に届いていると言い切れますか?
部長は「なぜ報告が上がってこないのか」と思い、現場は「言っても伝わらない」と感じている。間に立つ課長は、両方から板挟みになっている。どの立場にも悪意はないのに、情報だけがどこかで目減りしていく。これらは、多くの組織で起きている現象です。
そこで活用されているのが、部課長ゲームです。部長・課長・一般社員の役割に分かれ、声を出さずにメモのやり取りだけで課題を達成する。制約を極端にすることで、ふだんは気づけない情報伝達の詰まりがはっきり表に出ます。この記事では、その進め方と研修での活用方法を解説します。
部課長ゲームとは?
部長・課長・一般社員の3つの役割に分かれ、会話を禁じた状態でメモの受け渡しだけを使い、チームの目標達成を目指すゲームです。




1チームは6名程度。部長1名、課長1〜2名、残りが一般社員という構成が基本です。課題を解くために必要な情報は、一般社員に分散して配られます。一方、最終的な判断を下す権限を持つのは部長です。つまり、情報を持つ人と決める人が離れている状態から始まります。
ここに制約が加わります。話してはいけない、やり取りはメモだけ、しかもメモを渡せるのは隣接する階層だけ。部長は一般社員と直接やり取りできず、必ず課長を経由します。現実の組織構造を、そのまま縮めた形です。
用意するのは課題シートとメモ用紙だけ。6名から実施でき、60〜90分あれば複数ラウンドと振り返りまで行えます。
研修での活用方法

部課長ゲームを研修に取り入れるときは、「ゲーム前・中・後」の3フェーズで設計すると効果が最大になります。
フェーズ1:ゲーム前(役割の配置と課題の設計)
役割の割り振りが最初の設計ポイントです。実際の役職どおりに配置すると、ふだんの関係性がそのまま持ち込まれます。逆に、現場メンバーを部長役に、管理職を一般社員役にすると、立場が変わったときの見え方の違いが鮮明になります。研修の目的に応じて選びましょう。
課題は「全員の情報を集めないと解けない」形にします。一般社員それぞれに異なる断片を配り、組み合わせてはじめて答えが出る設計です。難易度は、情報がすべてそろえば数分で解ける程度で十分です。難しさの本体は、問題そのものではなく伝達のほうにあります。
開始前に伝えるルールは3つ。声を出さないこと、やり取りはメモだけであること、メモは隣接する階層としか交換できないこと。制限時間は15〜20分を目安にし、時間内に終わらなくても構わないと伝えておきましょう。終わらない体験そのものが材料になります。
フェーズ2:ゲーム中(メモの中身と流れを観察する)
最初に見たいのは、部長役の第一声となるメモです。「状況を報告せよ」とだけ書く人と、「何を知りたいのか」まで書く人がいます。この差が、そのあとの情報の質をほぼ決めてしまいます。
課長役の振る舞いも見どころです。下から上がってきた情報をそのまま渡す人、要約して渡す人、判断を加えて取捨選択する人に分かれます。要約の過程で重要な情報が落ちる場面が必ず出てくるので、どのメモがどう変化したかを追えると振り返りが具体的になります。
一般社員役の手が止まる時間にも注目しましょう。何を聞かれているかわからないまま待っている時間が、驚くほど長く発生します。実際の職場でも、指示待ちと見える状態の中身は、これと同じかもしれません。可能であればメモはすべて回収し、振り返りで並べられるようにしておきます。
フェーズ3:デブリーフィング(詰まった場所を特定する)
振り返りは、立場ごとに感じたことを順に出すところから始めます。「部長役として、いちばんもどかしかったのは何でしたか」「一般社員役として、困ったのはどんなときでしたか」。同じ時間を過ごしたのに、見えていた景色がまるで違うことが共有されます。
「立場→詰まり→職場への接続」の順で問いを進めましょう。
- 立場を語る:「自分の役割で、いちばんストレスを感じた瞬間はどこでしたか?」
- 詰まりを特定する:「情報が止まったのは、どの階層のどの場面でしたか?」
- 職場に接続する:「同じ詰まり方を、普段の業務でも見かけませんか?」
回収したメモを時系列に並べると、情報がどこで減ったかが見える化されます。余裕があれば、ルールを一部ゆるめた2回目を実施しましょう。「部長が最初に目的を全員へ共有してよい」と変えるだけで結果が大きく変わり、何が本当のボトルネックだったかがはっきりします。
部課長ゲームが生む、3つの変化

変化1:情報は、階層を通るたびに減る
一般社員が書いた内容が、課長を経て部長に届くころには、半分以下になっていることがあります。悪気も手抜きもありません。要約しようとすれば、必ず何かが落ちます。
この事実を体験すると、報告の受け取り方が変わります。上がってきた情報は全体の一部でしかない。その前提に立てるかどうかで、質問のしかたも確認のしかたも変わってきます。
変化2:指示の曖昧さは、下の階層ほど大きく響く
「状況を報告せよ」という一文は、部長にとっては明確な指示です。ところが受け取る側は、何を、どの粒度で、いつまでに書けばいいかわかりません。曖昧さは階層を下るほど増幅されます。
目的を添えるだけで結果が変わることも、同じ場で確認できます。「○○を決めたいので、△△の情報がほしい」と書かれたメモがどれだけ効率を上げるか。指示を出す立場の人ほど、実感として持ち帰れます。
変化3:上の立場は、待つ時間のほうが長い
部長役を体験した参加者がよく口にするのが、「何も起きない時間が長かった」という感想です。自分では動けず、上がってくるのを待つしかない。その焦りが、追加の指示を出しすぎる行動につながります。
一方で現場は、矢継ぎ早に来る指示に振り回されます。待てないことが現場を止めるという構図を、両方の立場から見られるのがこのゲームの価値です。
こんな組織・シーンに向いている

部課長ゲームが特に効果を発揮するのは、次のような場面です。
「現場の情報が経営層まで届かない」「指示が現場で別の意味に変わってしまう」という組織に向いています。管理職研修や階層別研修で、報連相や指示の出し方を扱うときの体験ワークとして使いやすい形式です。
役職を入れ替えて実施すれば、相互理解の効果も得られます。現場メンバーが部長役を体験することで、上の立場の見え方を理解できるためです。
まとめ
部課長ゲームは、情報を持つ人と決める人が離れている状態を、極端な制約の中で体験させるゲームです。メモが階層を上がるたびに中身が減り、指示が下るたびに曖昧になる。その詰まりを特定できれば、日常の報連相の形が変わります。
階層別研修でどのワークを使うか、迷うこともあると思います。そういった場合は、様々な研修ゲームをオンラインで体験することができますので、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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