KPTで振り返りを次の行動につなげる研修の進め方と効果
KPTは、Keep・Problem・Tryの3つの枠で業務を振り返るフレームワークです。反省会で終わらせず、次の具体的な行動まで決めるための進め方と、定着させるコツを解説します。

チームの振り返りが、いつのまにか反省会になっていませんか?
プロジェクトが終わるたびに集まって、うまくいかなかったことを挙げていく。話すうちに空気が重くなり、最後は「次は気をつけましょう」でまとまる。そして次のプロジェクトでも、同じところでつまずきます。振り返りの時間はとっているのに、仕事のやり方が変わらない。これらは、多くのチームが抱えている悩みです。
そこで活用されているのが、KPTです。Keep・Problem・Tryの3つの枠を使って、振り返りを次の行動につなげる。シンプルな形式ですが、使い方を押さえるだけで振り返りの質が大きく変わります。この記事では、その進め方と研修での活用方法を解説します。
KPTとは?
Keep・Problem・Tryの3つの要素で業務を振り返り、次に取る行動を決めるフレームワークです。




Keepには、うまくいったことや今後も続けたいことを書きます。Problemには、困ったことや課題に感じたことを書きます。Tryには、ProblemやKeepを踏まえて次に試してみることを書きます。この3つを順に埋めていくことで、振り返りが「何があったか」の確認で終わらず、「次に何をするか」まで進みます。
KPTの特徴は、うまくいったことを最初に扱う点にあります。振り返りというと課題探しに偏りがちですが、Keepがあることで、成功したやり方を意識して続けられるようになります。もともとはアジャイル開発の現場で広まった手法ですが、いまでは業種を問わず使われています。
用意するのは、ホワイトボードと付箋だけ。3名から実施でき、30〜60分あれば1回の振り返りを終えられます。
研修での活用方法

KPTを研修に取り入れるときは、「振り返り前・中・後」の3フェーズで設計すると効果が最大になります。
フェーズ1:振り返り前(対象と書き方のルールを決める)
まず、何を振り返るのかを明確にします。「この1か月の業務」「先週のイベント」「今日の研修ゲーム」のように、対象と期間を区切りましょう。範囲が広すぎると、話がぼやけて具体的なTryにたどり着けません。
書き方のルールも先に伝えておきます。いちばん大事なのは、Problemに人の名前を書かないことです。「○○さんの確認が遅かった」ではなく、「確認の締め切りが決まっていなかった」と書きます。人ではなく事象を対象にすることで、責め合いではなく改善の話し合いになります。
付箋は1枚に1つの内容を書き、短い言葉でまとめるように伝えましょう。書き出しの時間は、Keep・Problemあわせて10分程度が目安です。ホワイトボードを3つの枠に区切り、左にKeep、右上にProblem、右下にTryを置く配置がよく使われます。
フェーズ2:振り返り中(KeepからTryへ順に進める)
書き出しは、必ずKeepから始めましょう。いきなりProblemから入ると、場の空気が重くなり、発言が減ってしまいます。うまくいったことを先に共有すると、チームに前向きな雰囲気が生まれ、そのあとの課題も率直に出しやすくなります。
全員の付箋が出そろったら、似た内容をまとめながら読み上げていきます。観察したいのは、Problemの付箋が人を責める内容になっていないかです。もし出てきたら、ファシリテーターが「仕組みとしてはどうだったでしょう」と問い直し、事象に置き換えます。
Tryを考える段階では、具体性にこだわりましょう。「コミュニケーションを大切にする」では、明日何をすればいいかわかりません。「週に1回、15分の進捗共有の時間をとる」のように、誰が見ても実行できたかどうかを判断できる形まで落とします。Tryは多くても3つに絞ると、実行される確率が上がります。
フェーズ3:振り返り後(Tryを次のKPTで確かめる)
KPTは、1回で完結するものではありません。決めたTryを実行し、次のKPTでその結果を確かめるところまでがひとつのサイクルです。うまくいったTryは次回のKeepに、うまくいかなかったTryは次回のProblemに移ります。
「実行→確認→改善」の流れを回すために、次のような問いを使いましょう。
- 実行を確かめる:「前回決めたTryは、実際にやれましたか?」
- 結果を振り返る:「やってみて、何が変わりましたか?」
- 次につなげる:「続けるべきか、別のやり方を試すべきか、どちらでしょう?」
研修で初めてKPTを体験した場合は、その場で「職場で最初にKPTを行う日」を決めてもらうと効果的です。日程まで決めておくと、研修で学んだ形が職場でもそのまま回り始めます。
KPTが生む、3つの変化

変化1:反省会が、次の一手を決める場になる
課題を挙げるだけの振り返りは、気持ちが沈むだけで行動が変わりません。KPTでは、Problemのあとに必ずTryを決めるため、話し合いの終着点が「次に何をするか」になります。
振り返りの時間が前向きなものに変わると、参加者の姿勢も変わります。課題を出すことが責められることではなく、改善の材料を出すことだと受け止められるようになります。
変化2:うまくいったことを、意識して続けられる
成功したやり方は、意識しないとすぐに忘れられてしまいます。たまたまうまくいっただけなのか、何か理由があったのかを確かめないまま、次のプロジェクトでは別のやり方に戻ってしまう。KPTのKeepは、その取りこぼしを防ぎます。
うまくいった理由を言葉にしておくことで、チームの良い習慣が属人的なものから共有された型へと変わっていきます。
変化3:振り返りが、習慣として回り始める
Tryを次のKPTで確かめる流れができると、振り返りが一度きりのイベントではなく、継続的な改善の仕組みになります。小さなTryを積み重ねることで、半年後にはチームの仕事の進め方が目に見えて変わっています。
形式が決まっているため、ファシリテーターが替わっても同じ質で回せるのも利点です。特定の人に頼らずに続けられることが、定着の鍵になります。
こんな組織・シーンに向いている

KPTが特に効果を発揮するのは、次のような場面です。
「振り返りの時間はとっているのに、同じ失敗を繰り返している」「振り返りがいつも反省会で終わってしまう」というチームに向いています。プロジェクトの区切りごとに実施するほか、週次の定例会議の最後に10分だけ組み込む使い方もできます。
研修ゲームのデブリーフィングにもそのまま使えます。ゲームでうまくいったこと、困ったこと、職場で試したいことを3つの枠で整理すると、体験が行動計画に変わります。オンラインでも、共有のホワイトボードツールに付箋を貼る形で、同じように実施できます。
まとめ
KPTは、Keep・Problem・Tryの3つの枠で、振り返りを次の行動につなげるフレームワークです。うまくいったことから話し始め、課題を事象として捉え、具体的なTryを決めて次回に確かめる。このサイクルが、チームの仕事の進め方を少しずつ確実に変えていきます。
振り返りの質を高めるワークをどう選ぶか、迷うこともあると思います。そういった場合は、様々な研修ゲームをオンラインで体験することができますので、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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