ヒューマンノットでチームの連携を鍛える研修の進め方
ヒューマンノットは、輪になって手をつなぎ、絡まった状態を離さずにほどく定番のチームビルディングです。連携の課題が表に出る進め方と注意点を解説します。

「チームで協力しましょう」と言葉で伝えて、実際に協力が生まれたことはありますか?
研修で協働の大切さを学んでも、座学のままでは行動は変わりません。資料を見て納得した気になって、職場に戻れば元どおり。頭で理解することと、体が動くことのあいだには大きな隔たりがあります。
そこで活用されているのが、ヒューマンノットです。輪になって手をつなぎ、絡まった状態を手を離さずにほどく。古くから使われている定番のワークですが、いまも現役で使われ続けているのには理由があります。この記事では、その進め方と研修での活用方法を解説します。
ヒューマンノットとは?
全員で手をつないで絡まった状態をつくり、手を離さずにほどいてひとつの輪に戻す協力ゲームです。




進め方はこうです。6〜10名で内側を向いて輪になり、全員が腕を前に伸ばします。そのまま無作為に、別々の2人の手を握ります。このとき、隣の人や同じ人の両手は握らないようにします。腕が複雑に交差した「人間の結び目」ができあがったら、スタートです。
あとは手を離さないまま、くぐる、またぐ、向きを変えるといった動きでほどいていきます。制限時間は10〜15分が目安。きれいにひとつの輪に戻れば成功です。実際には2つの輪に分かれて終わることもありますが、それも含めて結果になります。
道具は何もいりません。6名いれば今日からでも始められて、20〜40分あればチームの連携のしかたが、はっきりと表に出てきます。
研修での活用方法

ヒューマンノットを研修に取り入れるときは、「ゲーム前・中・後」の3フェーズで設計すると効果が最大になります。
フェーズ1:ゲーム前(安全への配慮とルールの共有)
このワークは参加者同士が手をつなぎ、体を寄せ合います。だからこそ、始める前の配慮が欠かせません。身体的な接触に抵抗がある人、けがや持病のある人、妊娠中の人がいないかを事前に確認し、参加しない選択肢を用意しておきましょう。見学役を観察係として位置づければ、誰も気まずくなりません。
服装と場所も確認しておきます。しゃがむ、くぐるといった動きが出るため、動きやすい服装を事前に案内しておくと安心です。輪の外側に1人分の余白がある広さを確保し、机や椅子は片付けておきましょう。
ルールは3つだけ伝えます。手は絶対に離さないこと、無理に引っ張らないこと、痛いときはすぐ声を上げること。あわせて「ほどけないこともあります」と先に伝えておくと、解けなかったときの落胆が小さくなります。チームは6〜10名が、絡まり具合と動きやすさのバランスが取れる規模です。人数が多い場合は複数チームに分け、同時に進めましょう。
フェーズ2:ゲーム中(誰がどう動くかを観察する)
最初の2〜3分は、たいてい混乱したまま進みます。全員が同時に動こうとして、かえって絡まりが強くなる。この時間こそ観察のしどころです。混乱の中から、誰が最初に「いったん止まりましょう」と言い出すかを見ておきましょう。
次に見たいのは、全体を見ている人がいるかどうかです。自分の腕しか見ていないチームは、いつまでも進みません。一歩引いて「そこの2人が先に抜けたらどうですか」と提案する人が出た瞬間に、動きが変わります。この役割は、肩書きとは無関係に生まれます。
声を出していない人にも目を向けましょう。輪の中で指示を待っている人は、職場でも同じ立ち位置にいるかもしれません。ファシリテーターは答えを言わず、「今、誰の手がいちばん絡んでいますか」と状況を整理する問いだけを投げるにとどめます。
フェーズ3:デブリーフィング(混乱からの立て直しを振り返る)
振り返りの中心は、成功したかどうかではなく、混乱からどう立て直したかです。「最初の数分と、うまく進み出したあとで、何が変わりましたか」と問いかけると、自分たちの変化が具体的に出てきます。
「体験→役割→職場への接続」の順で問いを進めましょう。
- 体験を語る:「いちばんもどかしかったのは、どの場面でしたか?」
- 役割を振り返る:「誰のどんな一言で、状況が動きましたか?」
- 職場に接続する:「普段の仕事でも、同じような進み方をしていませんか?」
ほどけなかったチームがあっても、失敗として扱わないでください。「途中で方針を変えましたか」「諦めかけたとき、誰が声をかけましたか」と聞けば、成功したチームと同じだけの学びが出てきます。複数チームで実施した場合は、進め方の違いを比べると、さらに気づきが深まります。
ヒューマンノットが生む、3つの変化

変化1:全員が動かないと、絶対に進まない
このワークには、見ているだけで済む立場が存在しません。誰か1人が動かなければ、そこで全体が止まります。協働が必要だという話を聞くのではなく、動かない人がいると本当に進まないという事実を、体で理解することになります。
職場では、誰かが止まっていても仕事は回っているように見えます。実際には同じことが起きていたのかもしれない。そう気づかせるのが、このワークの力です。
変化2:指示役と動く役が、自然に分かれる
始めの数分で、全体を見て指示を出す人と、それに応じて動く人が自然に分かれます。任命したわけでもないのに役割ができあがる様子は、チームの力学をそのまま縮めて見せています。
ふだん発言の少ないメンバーが指示役になることも珍しくありません。役割は立場で決まるのではなく、その場の必要から生まれる。そう実感できる場面です。
変化3:体を動かすと、意見が出やすくなる
座って議論するときには黙っていた人が、体を動かしながらだと自然に声を出します。姿勢が変わると、発言のハードルも下がるからです。会議室で意見が出ないのは、意見がないからではないのかもしれません。
笑いが起きやすいことも、このワークの特徴です。絡まった状態で変な体勢になれば、誰でも笑います。その笑いが、そのあとの議論の空気を軽くします。
こんな組織・シーンに向いている

ヒューマンノットが特に効果を発揮するのは、次のような場面です。
「座学中心の研修で参加者の集中が切れてきた」「チームで動く感覚を体験してもらいたい」という場に向いています。道具も準備もいらないため、プログラムの合間に差し込めるのが大きな利点です。
新入社員研修や部署合同のキックオフ、長時間の研修の中だるみ対策としても活用できます。一方で、身体接触を伴うワークであることは避けて通れません。
社外の方が混在する場や、関係性ができていない集団、服装の指定が難しい場では無理に行わず、別のワークを選んだほうが安全です。オンラインでは実施できない点も、設計時に押さえておきましょう。
まとめ
ヒューマンノットは、全員が動かなければ進まないという状況を体でつくり出すワークです。混乱し、立て直し、誰かの一言で動き出す。この数分間に、チームの連携のしかたがそのまま表れます。
一方で、手をつないで動くワークである以上、ヒューマンノットをオンラインで実施することはできません。リモート中心のチームで同じような体験をつくりたい場合は、画面越しでも成立する研修ゲームを選ぶ必要があります。
対面でしかできないゲームもあれば、オンラインだからこそ使いやすいゲームもあります。様々な研修ゲームをオンラインで体験することができますので、以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
関連記事

KPTで振り返りを次の行動につなげる研修の進め方と効果
KPTは、Keep・Problem・Tryの3つの枠で業務を振り返るフレームワークです。反省会で終わらせず、次の具体的な行動まで決めるための進め方と、定着させるコツを解説します。

「強み発見」ワークで自分の持ち味に気づく研修の進め方と効果
「強み発見」ワークは、互いの強みを書き出し合い、過去の成功体験から自分の強みを掘り出すワークです。自分では当たり前すぎて気づけない持ち味を、根拠とともに見つける進め方を解説します。

メイク10でチームの思考力と連携を鍛える研修の進め方と効果
メイク10は、4つの数字を四則演算で組み合わせて「10」をつくる速さをチームで競うゲームです。試行錯誤を分担しながら答えに近づく過程で、思考力と連携を鍛える進め方を解説します。

ジグソー法で研修の学びを現場で使える知識に変える進め方
ジグソー法は、参加者がそれぞれ別の範囲を担当して専門家となり、互いに教え合って全体を完成させる学習法です。教える前提が理解を深める仕組みと進め方を解説します。
