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地図作成ゲームで情報共有を体験する研修の進め方と効果

地図作成ゲームを活用して、チーム内の情報共有を体験できる研修の進め方と効果を解説します。ゲームを通じて情報伝達の難しさや重要性を学び、コミュニケーション力や協働力を高める実践ポイントを紹介します。

「報告はしたはずなのに、チームに伝わっていなかった」そんな経験、ありませんか?

情報を持っているのに共有するタイミングを逃してしまったり、伝えたつもりが相手の理解と食い違っていたり。こうした「情報共有のすれ違い」は、チームの仕事の質を静かに下げていきます。でも日常業務の中でその原因を特定するのは、なかなか難しいもの。

そこで活用されているのが、地図作成ゲームです。断片的なヒントを口頭で共有しながらチームで地図を完成させるというシンプルな体験を通じて、チームの情報共有の実態を見える化できる研修ゲームです。この記事では、そのルールと研修での活用方法を解説します。

地図作成ゲームとは?

地図作成ゲームは、「断片的な情報をチームで言葉にして共有し、病院への道を描いた地図を完成させるゲーム」です。

舞台は、病院への道案内。リーダーが参加者ひとりひとりに、ヒントが書かれたカードを2〜3枚配ります。カードには「〇〇交差点を右折する」「△△の隣に公園がある」といった断片的な情報が書かれています。参加者はカードを他のメンバーに見せることができません。口頭でだけ情報を伝え、チーム全員で地図を完成させることがゴールです。

ポイントは、誰か一人が全ての情報を持っているわけではないという点です。全員がそれぞれ異なる情報の断片を持っており、それを正確に伝え合わなければ地図は完成しません。カードセットと白紙があれば始められ、4〜8名のチームで60〜90分あれば十分です。複数チームの同時実施にも対応できます。

研修での活用方法

地図作成ゲームを研修に取り入れるときは、「ゲーム前・中・後」の3フェーズで設計すると効果が最大になります。

フェーズ1:ゲーム前 ── 目的設定とルール説明

冒頭で「今日の研修で何を持ち帰ってほしいか」を行動レベルで伝えましょう。「コミュニケーションを改善する」では曖昧すぎます。「ゲームが終わったあと、チームの情報共有で明日から変えることを1つ決めて帰ってもらいます」と伝えるだけで、参加者の向き合い方が変わります。

ルール説明でとくに強調したいのは、「カードを見せてはいけない」という制約です。見せてしまえば一瞬で解決できる情報を、言葉だけで伝えなければならないという制約が、普段の情報共有の難しさをリアルに再現します。

また「正解の地図が存在する」という事実も最初から伝えて構いません。採点があると知ることで、参加者が本気で向き合います。オープニングに5〜10分かける価値があります。

カード配布の際は、シャッフルして偏りなく配るようにしましょう。特定の人に関連情報が集中すると、ゲームの難易度と気づきの質が変わってきます。

また、チーム内で情報を共有する手順をあらかじめ決めずにスタートするほうが、自然なコミュニケーションスタイルが現れやすくなります。「全員が順番に読み上げる」か「好きなタイミングで発言する」かによってチームの動き方は大きく変わり、そのちがい自体が振り返りの材料になります。

フェーズ2:ゲーム中 ── 観察のポイント

地図作成ゲームの観察で押さえたいのは、「言葉の精度」と「聞く姿勢」の2点です。カードの情報をどう言葉に変換しているか、他のメンバーの発言をどう受け取っているか、という2つを軸にメモを取ると、後のデブリーフィングが格段に豊かになります。

特に注目したい場面があります。誰かが情報を伝えたとき、地図にすぐ反映されたかどうか。「右折ですか、左折ですか?」と聞き返す人がいるかどうか。手元にカードがあるのに発言のタイミングをつかめていない人がいないか。そして複数の情報が矛盾したとき、チームがどう対処しようとするかです。これらはすべて、職場の情報共有の課題と直結します。

複数チームで実施する場合は、各チームを巡回しながら記録します。Aチームは全員が順番に話しているのに、Bチームは特定の人だけが発言しているかもしれません。地図の完成度と発言量の関係を見比べると、「たくさん話せばうまくいくわけではない」という気づきも生まれます。

フェーズ3:デブリーフィング ── 情報共有の実態を言葉にする

まず全チームの地図を並べて比較するところから始めましょう。同じカード情報を使っているのに、地図の完成度や描き方がチームによって異なることがあります。そのちがいを入り口にすると、「どこで何が起きていたか」をチームが自分事として振り返りやすくなります。

「事実→意味→行動」の順で問いかけを進めましょう。

  • 事実を振り返る:「自分の情報がうまく伝わった場面と、伝わらなかった場面をそれぞれ教えてください」
  • 意味を掘り下げる:「なぜそのちがいが生まれたと思いますか?普段の仕事でも似たことが起きていませんか?」
  • 行動につなげる:「明日の報告・連絡・相談の場面で、今日の気づきを活かして変えられることは何ですか?」

「手元のカードで発言できなかった情報はありましたか?」という問いも効果的です。手が挙がった瞬間に、チーム全体の空気が変わります。発言できなかった理由・気づかなかった理由が言葉になると、職場での情報共有の改善につながる具体的な対話が生まれます。振り返りの時間は研修全体の3割以上を確保すると、学びが日常業務に結びつきやすくなります。

ゲームで浮かびあがる情報共有の3つの課題

気づき1:「伝えた」と「伝わった」はちがう

ゲームを振り返ると、「カードを読み上げたのに地図に反映されていなかった」という場面が必ず出てきます。「伝える側は伝えたつもり」「受け取る側は聞き取れていなかった」というすれ違いは、職場の情報共有でも頻繁に起きています。

「言った・言わない」の議論ではなく、「相手に伝わったかどうかを確認する習慣」の重要性を体感できるのが、このゲームの強みです。

気づき2:情報を整理する役割がチームには必要だ

ゲーム中、うまくいくチームには必ずといっていいほど「情報を整理する役割」を自然に担う人が現れます。バラバラに発言される情報をまとめ、地図に落とし込む作業を引き受ける人です。

この役割が機能していないチームは、情報が飛び交うだけで地図が完成しにくくなります。「うちのチームに、この役割を担える人がいるか?」という問いが、組織の情報共有の課題を浮かびあがらせます。

気づき3:「発言できなかった」情報がある

ゲーム後に「手元のカードで使えなかった情報はありましたか?」と聞くと、必ず手が挙がります。そして、「話す機会がなかった」「発言するタイミングをつかめなかった」という声が出てきます。

「全員が情報を出し切れる場をつくれているか」という問いは、会議の設計や1on1の在り方を見直すきっかけにもなります。

こんな組織・シーンに向いている

地図作成ゲームが特に効果を発揮するのは、次のような場面です。

「報告・連絡・相談が形骸化している」「会議で同じ人ばかり話している」「情報が属人化していて共有されない」という課題を感じている組織に向いています。

ゲームを通じて、チームの情報共有の実態を安全な環境で可視化できるからです。

新入社員研修では、「なぜ情報共有が大切か」を頭で理解するだけでなく、体験として持ち帰れます。部署横断チームのキックオフでは、「お互いどんな情報を持っているか分からない」状態をゲームで再現し、連携の第一歩を踏み出しやすくなります。準備物が少なく短時間で実施できるため、定例研修の導入セッションとしても使いやすいでしょう。

まとめ

地図作成ゲームは、情報共有の質を「体験」として振り返れる点で、座学型の研修とは一味違います。「伝えた・伝わった」のズレや、整理役の存在、発言できなかった情報といった課題が、ゲームを通じて具体的に見えてきます。

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