図形伝達ワークで「伝わる力」を鍛える研修の進め方と効果
図形伝達ワークは、発信者が口頭で図形を説明し、受信者が再現する研修ゲームです。「伝えた」と「伝わった」のズレを体験できる進め方と、観察・振り返りのポイントを解説します。

「丁寧に説明したのに、相手には全然伝わっていなかった」という経験はありませんか?
説明した側は「伝えた」と感じている。でも受け手は「聞いたけど、よくわからなかった」と感じている。このズレは、業務のあらゆる場面で静かに起きています。
そこで活用されているのが、図形伝達ワークです。口頭での説明と質問のやり取りを通じて、「伝える力」と「受け取る力」の両方を体験的に鍛えられる研修ゲームです。この記事では、そのルールと研修での活用方法を解説します。
図形伝達ワークとは?
チームの発信者が図形を言葉だけで説明し、受信者がその説明をもとに図形を再現するゲームです。




各チームで発信者1名と受信者を決め、発信者が説明する情報をもとに、受信者は図形の答えを考えます。説明が終わった後、受信者から発信者へ質問することができます。完成した図形が正解に一番近かったチームが勝ちです。
道具はシンプルな図形が描かれた1枚のカードと、受信者が記録するための紙とペンだけです。4名以上いれば今日からでも始められ、30〜60分で「伝わること」の難しさと大切さを体験できます。
研修での活用方法

図形伝達ワークを研修に取り入れるときは、「ゲーム前・中・後」の3フェーズで設計すると効果が最大になります。
ゲーム前(役割と制約を伝える)
冒頭で役割とルールを明確に説明しましょう。「発信者は図形を見ながら口頭で説明する」「受信者は説明が終わるまで質問できない」「説明後に受信者から質問できる」という3点を丁寧に伝えます。この制約がゲームの核心を生むため、曖昧なまま始めないことが重要です。
ゲームの「目的」は最初に伝えないほうがよいでしょう。「コミュニケーションのトレーニング」と事前に説明すると、参加者が構えてしまいます。「チームで正解に近い図形を目指すゲームです」とだけ伝え、体験の中から気づきを引き出す設計にしましょう。
チームは4〜8名程度が、発信者の説明と受信者の反応を観察しやすい規模です。複数チームで同時進行し、最後に全チームの完成図形を並べて比較すると、チームごとの解釈のズレが一目で見えてきます。
ゲーム中(どこで理解がズレるかを観察する)
観察で押さえたいのは2つのタイミングです。発信者の説明中に「受信者がどこで手を止めるか」と、質問フェーズで「何を聞き、何を聞かないか」です。
手が止まる場面は、説明の抽象度が高すぎるか、前提となる認識が発信者と受信者でズレている瞬間です。「左から3分の1のところに」という説明でも、受信者によって解釈が割れます。こうした場面をメモしておくと、デブリーフィングで具体的な問いを立てる材料になります。
質問フェーズでは、積極的に確認しようとするメンバーと、質問をためらうメンバーの差が現れます。「なぜ質問しなかったか」を後から掘り下げると、「なんとなくわかった気がして」「間違えたら恥ずかしいと思って」といった心理が浮かびあがります。これは日常の職場でも起きていることです。
ゲーム後(ギャップを振り返る)
まず全チームの完成図形と正解を並べて公開しましょう。チームによって仕上がりがまったく異なることを確認するだけで、「同じ説明でもこんなにズレるのか」という気づきが生まれます。
「体験の振り返り→自分への気づき→職場への接続」の順で問いを進めましょう。
- 体験を語る:「説明しながら、どこが難しかったですか?」「受信者として、どこで迷いましたか?」
- 気づきを引き出す:「説明が伝わらなかった場面で、何が足りなかったと思いますか?」
- 職場に接続する:「普段の業務でも、似たようなすれ違いが起きていませんか?」
最後に発信者と受信者それぞれに「次にもう一度やるとしたら、何を変えますか?」と問いかけましょう。この問いが、体験を明日からの行動へと結びつける最後のひと押しになります。ワーク全体の3割以上を振り返りに使うことで、ゲームの体験が日常の対話に転化しやすくなります。
「伝わらない」が生む、3つの気づき

自分の説明は、思ったより「曖昧」だった
発信者が「右上に丸がある」と伝えても、受信者によって「右上」の位置も「丸」の大きさもまったく異なって描かれることがあります。言葉は伝えていても、イメージが伝わっていない。この体験が、自分の説明の精度を見直すきっかけになります。
質問が変われば、正解率が変わる
質問フェーズで「丸の大きさはどのくらいですか?」と聞ける受信者と、「わかりました」で止まる受信者では、完成した図形の精度がまったく違います。質問の質が理解の深さを決めると実感できるのが、このゲームの強みです。
「伝えた」と「伝わった」はまったく別物
ゲーム後に「あれだけ説明したのに」という発信者の声と、「あの説明ではわからなかった」という受信者の声が重なる瞬間があります。同じやり取りでも、受け取り方がまったく違う。この体験が、日常業務でのコミュニケーションを見直す入口になります。
こんな組織・シーンに向いている

図形伝達ワークが特に効果を発揮するのは、次のような場面です。
「業務の引き継ぎや指示がうまく伝わらない」「報告・連絡・相談の質を上げたい」というチームに向いています。ゲームのシンプルさが参加のハードルを下げるため、コミュニケーション研修の導入ワークとして使いやすいのも特徴です。
新メンバーが加わったタイミングや、部署をまたいだプロジェクトチームのキックオフにも活用できます。準備物が少なくオンライン実施にも対応しやすいため、リモートチームの関係構築と同時にコミュニケーションの質を高める場としても機能します。
まとめ
図形伝達ワークは、「伝えた」と「伝わった」がいかに違うかを、ゲームという安全な場で体験できる研修です。説明する難しさ、質問する勇気、認識ズレを直す対話。この3つが、チームのコミュニケーション品質を底上げします。
様々な研修ゲームをオンラインで体験することができます。以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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