価値観カードで"本音で話せるチーム"をつくる研修の進め方と効果
価値観カードを活用した研修の進め方と、本音で話せるチームをつくる7つの効果について解説します。

新しいチームや、まだ関係が浅いメンバーとの対話では、「このチームで自分の意見を言っても大丈夫だろうか」という不安が頭をよぎることがあります。
心理的安全性は、宣言するだけでは生まれません。「このメンバーはどんなことを大切にしているのか」を知ることが、安心して話せる土台になります。しかし日常業務のなかで、互いの価値観を語り合う機会はほとんどありません。
そこで活用されているのが、価値観カードです。カードを引き、残すものと手放すものを選ぶというシンプルな行為を通じて、自分が大切にしていることを自然に言葉にできる研修ゲームです。この記事では、そのルールと研修での活用方法を解説します。
価値観カードとは?
カードに書かれた価値観を選びながら、残すもの・手放すものを通じて自分が大切にしていることをチームと共有するゲームです。




カードには「誠実さ」「挑戦」「調和」「効率」「創造性」「家族」など、さまざまな価値観が一枚ずつ書かれています。参加者はカードを配られ、山札から引いては不要なものを捨てるプロセスを繰り返しながら、自分にとって本当に大切な価値観を表すカードだけを手元に残していきます。
最終的に残ったカードをメンバーに見せ、「なぜこのカードを残したか」「何を手放したか」を語り合います。答えに正解も優劣もありません。カードを選ぶ行為そのものが、自分の価値観と向き合うプロセスになっています。カードセット1つで始められ、3〜6名のグループで60〜90分あれば十分です。複数グループの同時実施にも対応できます。
研修での活用方法

価値観カードを研修に取り入れるときは、「ゲーム前・中・後」の3フェーズで設計すると効果が最大になります。
フェーズ1:ゲーム前 「選ばなくていい自由」を伝える
このゲームの肝は、参加者が「どのカードを選んでも正解」だと感じられるかどうかです。冒頭で「残すカードに優劣はない」「自分が感じたままに選んでいい」とはっきり伝えてください。価値観に序列をつける場ではなく、ちがいを知る場だという方向性を最初に示すことで、参加者が安心して自分の感覚に従えます。
カードを配る前に、「今日は仕事の話ではなく、あなた自身の話をする時間です」という一言を添えましょう。役職や立場を脇に置いた対話の場として設定することが、このゲームの効果を高めます。
グループの人数は3〜5名が対話の質を保ちやすい規模です。上司と部下が同じグループになると発言が偏りやすいため、参加者の組み合わせは事前に検討しておきましょう。
フェーズ2:ゲーム中 迷いと手放しの瞬間を観察する
選択のプロセスを見守るとき、注目したいのは「どのカードで手が止まるか」です。即座に捨てられるカードより、捨てるかどうか迷っているカードのほうが、その人の価値観の輪郭をより鮮明に映し出しています。
見ておきたい場面があります。手札を前にして長く悩んでいる参加者はどのカードを持っているか。「このカード、捨てたくないけど…」という小声がどのタイミングで出るか。周りの目を気にしながら選んでいる様子はないか。こうした観察が、デブリーフィングで「あのとき何を感じていたか」を問う起点になります。
複数グループで実施している場合は、グループごとに残ったカードの傾向をメモしておきましょう。同じカードを残したグループとまったく異なるグループを比較すると、「同じ職場にいてもこんなに違う」という気づきが生まれます。
フェーズ3:デブリーフィング 「なぜ残したか」を語り合う
まず一人ひとりに、手元に残ったカードを見せながら「いちばん手放せなかったカードはどれですか?」と問いかけましょう。選んだカードを提示するだけでなく、その理由を言葉にしてもらうことで、対話が価値観の共有へと深まります。
「選んだ理由→自分への気づき→チームへの接続」の順で問いを進めましょう。
- 選んだ理由を語る:「そのカードを最後まで残したのは、どんな場面が頭に浮かんだからですか?」
- 自分への気づき:「捨てようか迷ったカードはありましたか?そのとき何を感じましたか?」
- チームへの接続:「メンバーのカードを見て、意外だったことや共感したことはありましたか?」
同じカードを残していても、その理由がまったく異なる場合があります。「同じ言葉でも、大切にしている文脈が違う」という発見が、表面的な共通点の先にある理解を促します。ワーク全体の3割以上を振り返りに使うことで、気づきが日々の対話のスタイルへと結びつきやすくなります。
カードが映し出す、3つの対話の発見

発見1:「捨てにくいカード」に、その人の本音が宿る
すぐに捨てられたカードより、最後まで迷って手放したカードのほうが、その人が何を大切にしているかを正直に映し出しています。「本当は残したかったけど、仕事には関係ないと思って」という声が出てくることがあります。
その瞬間に、普段の業務では見えていなかったその人の一面が浮かびあがります。仕事上の役割の背後にある「人」を知るきっかけが、このゲームにはあります。
発見2:同じカードを選んでも、意味がまったく違う
「誠実さ」というカードを残したメンバーが複数いても、一人は「約束を守ること」、もう一人は「思ったことを正直に言えること」を大切にしていることがあります。言葉は同じでも、その背景にある経験や場面が異なるのです。
「同じ価値観を持っている」と思っていたメンバーと、実は違う文脈で同じ言葉を使っていた。この発見が、チームの対話をより丁寧にするきっかけになります。
発見3:違いを知ることが、安心感をつくる
価値観の違いは、ときに摩擦の原因として意識されます。しかしこのゲームの場では、違いは「その人らしさ」として受け取られます。「あなたがそれを大切にしているのか」という理解が、互いへのリスペクトを自然に育てます。
心理的安全性は、全員が同じ価値観を持つことでは生まれません。「違うことが許される」という体験の積み重ねが、安心して話せるチームの土台をつくっていきます。
こんな組織・シーンに向いている

価値観カードが特に効果を発揮するのは、次のような場面です。
新しいチームのキックオフでは、業務の話に入る前に「人として知り合う」時間として活用できます。最初に価値観を共有しておくことで、その後の意思決定や対話の質が変わります。「遠慮がちで意見が出ない」「発言する人が偏っている」という課題を感じているチームにも向いています。
管理職・リーダー研修では、「自分はどんな価値観でチームに向き合っているか」を言葉にする機会になります。部下に心理的安全性を求める前に、上司自身が自分の価値観を開示する姿が、チームの空気を変える第一歩です。準備物が少なくオンラインでも実施しやすいため、リモートチームの関係構築にも活用できます。
まとめ
価値観カードは、「何を話せばいいかわからない」という対話の壁を、カードという具体的な媒介で取り除くゲームです。選ぶ・迷う・手放すというシンプルな行為が、自分でも気づいていなかった価値観を言葉にするきっかけをつくります。違いを知ることで深まる理解が、チームの心理的安全性の土台になっていくでしょう。
様々な研修ゲームをオンラインで体験することができます。以下のフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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